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行政書士法人とは?法人化のメリットとデメリット、個人事務所との違い

行政書士の試験に合格し、一度は、どこかで経験を積みたいと考えて、求人を検索したことがあるかもしれません。そのときに、行政書士法人の存在を知った方も多いのではないでしょうか。

私は、埼玉県内で、自宅兼事務所として開業し、現在は、法人の社員として、国際業務(在留資格・帰化に関する申請等)に従事しております。この記事では、実際に、法人メンバーの一員になって感じたことを、個人事務所時代を振り返りながら、皆さんに行政書士法人とは何か、法人化することのメリット・デメリットを赤裸々にお話できればと思います。

行政書士法人とは

2名以上の行政書士が集まり、法務局で登記手続をすることによって、行政書士法人を設立することができます。法人の種類は様々ありますが、行政書士法人は、会社法上の合名会社の規定を多く準用しています。

合名会社の特色としては、

  1. 無限責任社員のみによって構成される。
  2. 社員の全員が、会社債務につき会社債権者に対して連帯して直接無限の責任を負う
  3. 各社員が会社の業務を執行し、会社を代表する権限を有する。
  4. 社員の出資としては、物的会社と異なり、財産出資のほか、労務出資や信用出資が認められる。

等が挙げられます。

一般社団法人のように、資本的結合より人的結合の面が強く現れ、社員の個性が強く反映する「人的会社」の典型とされています。

令和元年12月4日行政書士1名で行政書士法人化できる行政書士法の改正があり、この改正法は、公布から1年6か月後(令和3年6月頃)に施行されます。

行政書士法人と(個人)行政書士事務所の違い

なぜ、法人化するかというと、法人として経営するためです。つまり目的は、組織的に活動をすることで、よりよいサービスを提供することです。

個人事務所とは違い、行政書士業務を行う主体は法人となりますので、申請書に記載する代理人の記名は、「行政書士法人○○○○ 代表社員【行政書士名】」となり、行政書士法人の名前が入った職印を使用することになります。

補助者を採用する際には、一人の行政書士の補助に入るのではありません。法人が受任するすべての業務が補助の対象となります。

出入国在留管理局における申請等業務(出入国関係申請取次業務)や、特定行政書士にのみ認められる申請等業務は、定款に当該申請業務等を行う旨、記載がない限り法人として受任することができません。

もともと行政書士個人に対して法律上課せられる義務(例えば、帳簿の備付及び保存や報酬の額の掲示等)は、法人にも準用されています。それに加えて、法人事業税の納付義務ができたり、役員報酬を支払う際は、厚生年金保険・社会保険の強制適用事業所として扱われることとなります。

行政書士法人化するメリットとデメリット

よりよいサービスを提供するために組織化するとは具体的にどのようなことでしょうか。

  1. 行政書士が共同して事務所を法人化することにより、業務の分業化、専門化が進み、 高度に専門化した質の高いサービスを安定的に供給することを可能とし、複雑、多様化する国民のニーズに的確に応える。
  2. 行政書士法人が受任契約の主体となることから、社員である行政書士等が死亡や事 故等によって業務を行うことができなくなった場合でも、法人によって受任事務が継続処理されることにより、依頼者の地位が安定、強化される。
  3. 事務所規模の拡大により、優秀な人材を確保、育成することや、社員又は使用人で ある行政書士が公益的な活動に従事できる環境を整えることが可能となる。
  4. 法人名義での財産取得、資金借入等を行うことが可能となる。
  5. 責任を負う社員が複数になることにより、行政書士事務所の賠償責任能力が強化さ れ、対外的信用が増加する。

以上のようなメリットを挙げることができます。

また、三人寄れば文殊の知恵というように、数人の行政書士が集えば、営業のための良いアイディアは浮かんでくるでしょうし、業務ごとの反省点を(個人事務所間では個人情報や守秘義務の問題がありできないが)共有することもできるので、切磋琢磨していくこともできるでしょう。

強いてデメリットを挙げるならば、これらメリットを享受するために、社員(協同で設立した行政書士)全員が、積極的に、法人組織体を作ろうとしない限り、単なる個人事業主の集まりになりかねないということです。

法人と個人では、やはり法人の方が信用力を持っているような気がします。お客様は、法人だから、合理的に業務を進めてくれるのだろうと期待するでしょう。しかしながら、それぞれの行政書士が自分の営業力で相談を獲得し、その案件を一人で握ってクロージングしてしまっては「個人事業主の集まり」から脱することはできず、ただの幻想に終わってしまいます。

したがって、相談の獲得も大切ですが、組織してから早い段階で、各個人事務所時代に使用していた事務フォーマットを互いに見せ合い、行政書士法人のフォーマットに統合していく作業が重要となります。料金表、見積書・請求書、契約書、相談シートなどなど。さらに、案件管理の方法も検討しなければなりません。

繰り返しになりますが、行政書士法人は、業務フローを効率化し、よりよいサービスをお客様に提供するために行政書士が結束したものです。営業力の強化も大切ですが、個人の集まりから、より結束の強い組織へと昇華することを目指して活動していきたい、と私自身、現在進行形で思っています。

まとめ

行政書士法人のイメージが付きましたでしょうか?個人事務所の皆さまは、一から十まで自分でやっている方が多いと思います。しかし、身体は一つなので、ある時点で「限界」を感じるという話もよく耳にします。

では、その限界を突破するには?そのひとつの手段として、法人化というものがあるのです。もちろん、ほかの法人形態もみな、組織していこうと思わないと、ただの集まりになってしまいます。

「法人化をしよう」と決意されたときには、「何のための法人化か?」という問いかけを忘れずに持っておきたいですね。

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