実務 入管実務

新人行政書士の実務入門-入管手続の実務「技術・人文知識・国際業務」

近年外国人労働者の門戸を広げたことで、「入管業務」が行政書士のトレンドになっています。この記事では、私たち行政書士ができる業務の内容、依頼者について、業務の流れ、そして、報酬についてお話していきます。非常に専門性が高い分野です。

その分”入管業務専門行政書士”と自信をもって営業できれば、多くのニーズに応えられるでしょう。

入管業務とは

「入管」とは、「出入国在留管理局」の略称であり、いわゆる「入管業務」とは、出入国在留管理局における申請業務全般のことをいいます。

具体的には、在留資格に関する諸手続に関する書類の作成、そして、地方出入国在留管理局へ足を運んで本人に代わって申請を行う業務等です。


出入国在留管理庁ホームページ 組織・機構

「在留資格」とは、外国人が日本に滞在し生活する「ライセンス」のことをいいます。このライセンスには期限(在留期限)があるため、更新の手続をしないままにしておくと、不法滞在となり、罰則を科される可能性があります。また、一度期限が切れてしまうと、在留資格が失効してしまうため、いよいよ日本にいることができなくなってしまいます(オーバーステイ)。


出入国在留管理庁ホームページ 在留カード

依頼者について

まず、日本にお住まいの外国人本人からの相談があります。在留期間の更新についての相談は然ることながら、別の在留資格への変更について相談を受けることもあります。

在留資格は、30種類近く(執筆時現在)存在し、それぞれの在留資格は、外国人が日本でできる活動と結びついています。そのため、これまでの活動を辞めたり活動ができなくなってしまった場合、別の在留資格へと変更しなければならないのです。例えば、日本人と結婚していたから日本への滞在が認められていた外国人が離婚してしまったら、従前の在留資格(「日本人の配偶者等」)からの変更をしなければならないのです。

一方で、外国人を雇用したいという企業からの相談ももちろんあります。すでに日本にいる外国人を雇いたい場合と、海外から呼び寄せたい場合とでは、手続が大きく異なります。前者の場合、ほとんどは、在留資格変更許可申請、後者の場合は、在留資格認定証明書交付申請となります。

業務の流れ

(1)ヒアリングをして目標となる在留資格を確定させる

例えば、留学生のAさんを、B会社が、雇いたいと考えたとします。まずどの在留資格への変更が適切かという相談から始まることが多いでしょう。

Aさんは文字どおり、在留資格「留学」を持っていますが、まもなく卒業を迎え、しばらくすると在留期限が到来します。

つまり、別の在留資格に変更する必要があります。

仕事ができる在留資格(いわゆる就労ビザ)にも沢山の種類があります。会社の担当者、必要に応じて外国人本人にヒアリングをします。

(2)必要書類をリストアップし提示する

仮に「技術・人文知識・国際業務」という在留資格への変更が適切だと分かったら、必要書類をリストアップし、企業担当者に伝えます。

書類にはいくつか種類があります。会社が取得する書類、外国人が取得する書類には、私たちが委任を受けて取得できるものもあります。

一方で、私たちが取得を代わることができない内部の書類(会計書類や内部マニュアル等)、外国人本人しか持ちえない書類については、提出をお願いするほかありません。

自分ができることと、できないことの線引きが大切になります。

(3)申請書類を作成し、提出する

収集した書類を参照しながら、申請書を作成します。また、必要書類リストを見直し、不足書類が無いか再確認を行います。

最低限の書類では、申請に至るまでの経緯が見えない場合があります。その際には、申請理由書や採用理由書をつけるのが良いでしょう。ストーリーを審査官に読んでもらうことを想像して、それぞれの疎明資料を結び付けてください。

一定の講習を修了した「申請取次行政書士」であれば、出入国在留管理局へ赴き、本人に代わって窓口に書類を提出(申請取次)することができます。

報酬について

一般的な報酬額としては、10万円から20万円くらいが相場です。もっとも、難易度が高ければ、30万円以上の報酬額と設定できる場合もあります。

難易度が高いケースでまず考えられるのは、最低限の書類を提出したところで、不許可になる可能性が高い案件です。本当に在留資格が予定している活動を行うのか、その証明責任は、外国人本人にあります。そこで行政書士が、どのようにすれば、疑義を解消できるのか具体的に考えて、提案することで、その結果を許可に持っていける場合があるのです。

つぎに、すでに不許可になった案件です。入管からの不許可通知からは、具体的な理由を読み取れない場合が多いので、実際に、私たち行政書士が、申請人と一緒に入管へ行き、入国審査官から話を聞くところから、この再申請(リカバリー)が始まります。この不許可事由を解消するためには、多くの時間を割かなければならないため、その分、報酬額の設定も、通常の5割程度増しというのが相場です。

これからの行政書士業務は、事務作業がシステム化されていくことは必然でしょうから、より、コンサルティングを重視した関わり方が期待されるようになると思われます。したがって、手続に対しての報酬という定式ではなく、顧問契約にも繋げることができる可能性は十分にあります。

その他留意事項

入管業務は、入管法(出入国管理及び難民認定法)に関する知識はもちろん必要ですが、さらに、入管法施行規則(法務省令)や、入国・在留審査要領(入管内部資料である審査マニュアル)、告示、ガイドライン等、細分化されたルールも知っている必要があります。

また、入管は、許可の可能性が一定程度ある案件について、助け舟を出すことがあります。これは「資料提出通知書」と言われるもので、記載の書類を提出することが疑義解消に直結することが多くあります。

ここで、ただ何となく収集し提出するのではなく、「なぜ、入管は、この書類の提出を推奨したのだろうか」と要件と照らして考えることで、今後の申請に応用できる知識として身に着けることができると思います。

まとめ

建設業許可申請等のように行政書士業務の柱となる入管業務を自分のものにするには、知識の習得に多くの時間を掛ける必要があります。セミナーにはできるだけ参加しましょう。

私の場合、駅近くで募金活動をしているフィリピン人の方に英語表記の名刺を渡したことがきっかけで、入管業務の扉を開きました。少なくとも仕事を獲得するには、コミュニティに飛び込んでいく勇気が必要でしょう。

あたりまえのことですが、誰もがはじめての入管業務があるのです。知識を実務で活かすには、不安があると思います。そのときは、損得勘定を捨て、先輩の行政書士に相談しながら、あるいは共同受任という形でも構いませんから前進してみてください。

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