実務 入管実務

新人行政書士の実務入門-入管手続の実務

外国人に関連した業務に在留資格の許可申請業務がございます。

この記事は、新人行政書士向けに、入管手続における在留資格許可申請の実務を紹介します。

在留資格許可申請業務とは

在留資格許可申請業務は、外国人に代わって在留資格の申請を行う業務です。

在留資格とは、外国人が日本で活動をするために必要な資格です。日本へ観光に来た外国人も取得しており、日本にいる外国人は何かしらの在留資格を取得していることになります。

在留資格の種類は、出入国管理及び難民認定法の別表1と別表2に定められています。法律の一番最後に掲載されています。

前述の観光のための在留資格「短期滞在(観光)」については、旅行会社が取得することがほとんどです。旅行会社と提携でもしていない限りは、行政書士への依頼はないと言えるでしょう。

実務上は、以下の内容の在留資格の依頼が多いです。

  • 仕事をするため
  • 日本で活動する外国人配偶者と日本で一緒に生活するため
  • 日本人と国際結婚し、日本で一緒に生活するため
  • 日本で永住したいため
  • 日本で定住したいため

これらの依頼に対応することになります。

外国語は必須か

外国語は話せた方が有利です。日本語ができない外国人(片言の日本語しかできない外国人)相手ですと、外国語は必須となります。ただし、現実的にはすべての外国語を話すことは難しいので、外国語ができる補助者を雇うのもありです。

外国語ができない場合は、実務の専門性を高めるとよいでしょう。専門的な業務は得てして報酬が高く、競合も少なくなります。

外国語を学び対応するのか、より専門性を高め業務をこなすのか、またはその中間をとるのかを決めましょう。

業務の流れ

①相談

相談段階では、日本で行いたい内容をヒアリングし、どの在留資格に該当するかを判断します。

どの在留資格がわかったら、次にその在留資格の要件を満たすかをヒアリングをして確認していきます。要件を満たすか判断できない場合は、要件を満たすにはどうしたらようかをアドバイスすることになります。

要件を満たすようであれば、要件を満たす立証をするための必要書類を判断します。在留資格申請は原則書面審査となるので、必要書類の判断はとても重要です。

就労系の在留資格の場合は、外国人本人だけでなく、企業人事担当からの相談もあります。

②書類収集

業務の依頼を受けたら疎明書類の収集を行います。外国語で記載された文書は原則日本語の翻訳文をつけるようにします。

依頼者によっては、虚偽の書類を提示することがあるので注意します。

働く在留資格の場合、本人に関する書類以外にも、勤務予定先の会社の書類(決算書、会社案内など)も必要となり、行政書士が中心となり書類を収集します。

③申請書類作成

書類収集後は、申請書類の作成となります。

申請書類は、収集書類の情報と本人からのヒアリングした情報を基に作成します。もし、疎明書類と本人のヒアリング情報に食い違いがある場合は、本人に連絡しどちらが正しいかを確認します。

一度提出した書類は入管に情報が保管されます。過去の申請書と今後提出する書類に食い違いがあると在留資格を取得できないことになるので、注意しながら書類を作成します。

書類作成後は、申請書類にサインや押印をもらいます。

④申請

申請者の所在地を管轄する地方出入国在留管理局へ申請をします。

申請後は入管から追加資料の提出を求められることがありますので迅速に対応します。

⑤結果受領

結果は行政書士事務所に郵送で送られてきます。

その後、在留資格カードの受領手続きで再び入管へ行きます。(外国からの呼び寄せの場合は在留カードの受領はありません。)

また、不許可の場合は、入管へ行き不許可の理由を聞きに行きます。再申請の可能性があるのであれば、再申請に向け準備を進めます。

⑥アフターフォロー

在留資格には、原則在留期間が定められており、在留期間の更新の申請をする必要がございます。

在留資格取得後は、在留期間が過ぎないよう、更新期限が近づいたら更新の案内の連絡をするようにしましょう。

報酬について

在留資格許可申請業務の報酬の目安は、日本行政書士会連合会公表報酬額統計(平成27年度)の平均額と最頻値(最も多い報酬額)で紹介します。報酬は、行政へ支払う手数料を除いた額です。通常は、行政への申請手数料、郵送費、証明書交付手数料等は、実費として請求します。

申請の種類 在留資格の種類 報 酬
平均額
報 酬
最頻値※
在留資格認定証明書交付申請 居住資格 110,271円 100,000円
在留資格認定証明書交付申請 就労資格 119,642円 100,000円
在留資格認定証明書交付申請 非就労資格 93,883円 50,000円
在留資格認定証明書交付申請 投資・経営
現:経営・管理
170,503円 150,000円
在留資格変更許可申請 居住資格 84,903円 100,000円
在留資格変更許可申請 就労資格 87,566円 100,000円
在留資格変更許可申請 非就労資格 80,119円 50,000円
在留資格変更許可申請 投資・経営
現:経営・管理
133,988円 120,000円
在留期間更新許可申請 居住資格 43,895円 50,000円
在留期間更新許可申請 就労資格 50,193円 30,000円
在留期間更新許可申請 非就労資格 41,332円 20,000円
在留期間更新許可申請 投資・経営
現:経営・管理
64,050円 30,000円
永住許可申請 永住者 122,924円 100,000円

※最頻値:最も回答の多かった報酬額

引用:平成27年度行政書士報酬統計

こちらの報酬をベースにして報酬額を決定するといいと思います。インターネットで集客をする行政書士事務所さんだと、かなり安い報酬を設定しているところもあります。あまり参考にはせずに、価格以外の面で優位に立てるように準備をするようにしましょう。

申請の種類

代表的な申請は3つあります。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、外国にいる外国人を日本に呼び寄せるために必要な手続きです。

外国人労働者を日本に呼び寄せたい会社、国際結婚をし外国にいる配偶者を日本に呼び寄せたい日本人、日本で起業したい外国人などが依頼者となります。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請は、すでに日本に在留している外国人が別の在留資格に変更するために必要な手続きです。

留学生が企業に就職し、新たに就労系の在留資格に変更したい場合などに依頼があります。

在留期間更新許可申請

在留期間更新許可申請は、所持している在留資格の在留期間を延長するために必要な手続きです。

既に日本にいる外国人で、在留期間の延長を希望する場合に依頼があります。更新手続きは簡易なため、外国人本人が行うことが多いです。

ただし、就労系の在留資格所持者が転職をしている場合は、実質在留資格変更許可申請と同様の手続きとなり、申請が複雑となるケースがございます。この場合は、転職有の在留期間更新許可申請として、在留資格変更許可申請と同様の報酬を請求すべきです。

上記以外にも、在留資格関連の手続きがありますが、上記3つが基本的な手続きとなります。

申請等取次研修

出入国在留管理局(以下「入管」といいます。)へ行政書士が申請するには、事前に日本行政書士会連合会主催の申請等取次研修会を修了し、申請取次行政書士として届出をしておかなければいけません。もし、この届出をしていない場合は、書類作成のみを行い、申請は本人が行うことになります。

いわゆる「ピンクカード」と言われる届出済証を取得して業務にあたります。

実務の修得方法

在留資格関連業務を身に着けるには、まずは業務の全体像を把握した後に、入管法令を勉強することです。入管法令は、入管法、入管法施行規則、入管法施行令、告示など多岐にわたります。これらを関連付けて学ぶ必要がございます。

近年、在留資格が複雑化しており入管法令の勉強はそれなりの時間が必要です。また、他の許認可とは違い、実務を行っていないとわからない箇所がとても多いのも在留資格関連業務の特徴です。市販の書籍やインターネットに掲載できない事例が多々あります。

これらは、実際の実務をこなしたり、入管業務を取り扱う行政書士との情報交換をしたり、実務セミナーを受講したりして修得します。

まとめ

近年、新人行政書士が取扱いたい業務で、この在留資格許可申請業務は上位になっています。

それだけ需要がある業務です。競合が増えるということは報酬は下がっていくことが予想されます。

競合との差別化を図るためにも、外国語や専門知識の習得をしていくとよいでしょう。

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